日本ラグビー、歴史的勝利の目撃者となる!!(in秩父宮)

2016/05/08 19:44 スポーツ , 旅行・祭り , イベント
この話はこちらから続いています。(というより、少し戻ります)
 混雑する秩父宮の正門をくぐり、チケットを受け取りに向かった。
ところが、ここでまた予期せぬ出来事が起こる。
今回はバーコードチケットではなく、登録したクレジットカードを差し込めば、スムーズに入場できるというチケットを購入していた。
そのチケット交換機は正面入り口から右方向に何台かあり、そちらに足を向けた。2、3人並んでいる程度ですぐに入れるはずだった。ただし最近は多くのカードを持っている人がいる(私もだが)ので、「登録したカードを間違えずに持ってきてください」という文言が、登録後の返信メールには書かれてあった。
私は仙台を出発する前に何度もカードを確認していた。
余裕綽々で、そのクレジットカードを交換機に差し入れた。
ところが信じられないことに、「このカードは認識できません」と機械は宣うのである。もう一度入れ直したが、同じことを言いやがる(交換機が)。
「ふざけるな!! グルルルル!!」と狼のように吠えたかったが、さすがに自重した。というのも、カードを間違える人が多いらしく、機械の横には係の人がいたからだ。
係の人が「貸していただけますか」と言って、私のカードを差し込んだが結果は同じだった。困った係員は「チケット引換番号お分かりになりますか」と訊ねてきた。
ここでも同じ過ちを二度犯すような愚かな私ではない。
前回の件で懲りたので、そういう可能性もあろうかと思い、番号が記載されたメールもプリントして持っていた。その番号を読み上げると、係の人が番号を機械に入力した(と思う。たしか)。
ようやく、購入内容と座席が表示され、チケットが発券された。
それにしても、あのチケット交換機は大丈夫なのか? 
カードは間違えていないし、行く途中に立ち寄ったコンビニでもそのカードは使えた。あの機械自体に不具合があったとしか思えん。
※「チケットラグビー」というやつで、ネット上から詳細な座席選択ができて便利なのだが、もし行かれる方がいたら、万が一のことを考えて“引き換え番号”はメモしていくことをお勧めします。今でも思うが、もし番号が分からなかった場合、私はどうなっていたのだろう??
チケットを手にした私は競技場内に入った。
場内では「熊本地震」募金のお願いを選手たちが行っていた。最終的に1日で500万円以上の募金が集まったらしい。他のスポーツでもやっているが、こういうことに積極的に取り組む姿勢は素直に素晴らしいと思う。
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熊本地震への募金をした方は、右の菊谷君、左の藤田君からサインをもらったり、記念撮影していた。私はすでに募金を色々なところでしており、これは行列が長かったので断念した。
 午後2時15分、試合が始まった。
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試合開始前に円陣を組むジャガーズ

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これが私の最も好きなプレーヤー、“キックの神”であるアルゼンチンのスーパースター、ルイス・エルナンデス。遂に秩父宮降臨!!  SOでスタメン出場と知ったとき「おお、エルちゃんだああああ!!」と大声で叫ぶと、隣の女性が不思議そうな顔で私を見ていた(笑)。

”キックの神”のはずのエルナンデスは、この試合では何故かイージーなキックを外しまくり、それがサンウルブズの勝利を呼び込む一因にもなった。テーピングしているのが見えるので、右足が完全じゃないのかもしれない。もう5年ほど早く来日して欲しかった。※追記:それでも仙台に戻ってからビデオを見直すと、アルゼンチンの3つのトライは全て、彼の見事なパスやパントキックが起点になっていたのを知った。(観戦時には全く分からなかった)キック力は衰えたが、やはり今でも素晴らしい選手である。

しかし、下手くそな写真だ。昔に比べ腕が落ちた。というか、近視と老眼が進んだので、ファインダーを覗くとどこでプレーしているのか分からない(笑)。

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ハーフタイムには2019年に日本で開催されるワールドカップの紹介映像が流れ、久々に五郎丸選手のお祈りポーズも見られた。

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サンウルブズの攻守の要、FBのフィルヨーン。33歳になって衰えの隠せないエルナンデスより、彼のハイパントのほうが上空高く飛んでいた。

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前の試合で崩壊したスクラムはかなり改善され、互角以上に渡り会った。
 後半に入ってもサンウルブズは、トライを奪われれば取り返し、けして諦めなかった。後半残り9分で、SOのピシがPGを決めて逆転に成功し、1点リードすると場内はヒートアップした。
このまま守り切れば、初勝利は目前。
秩父宮は騒然となり、ものすごい熱気に包まれた。
観客は一つ一つのプレーに固唾を飲みながらも、彼らを後押しする声援が、あちらこちらから湧き上がった。
残り3分。
1点リードのまま、サンウルブズは敵陣ゴールライン付近まで攻め込む。このままボールキープすれば歓喜の初勝利が舞い込む。日本ラグビーの新しい歴史を作ることになる。
だが彼らは単に勝利を目指すボールキープではなく、最後まで攻め続けた。
スクラムから出たボールはSOのピシからCTBの立川へと繋がれ、ボールを抱えた立川はゴールポスト下にダイビング。勝利確定。歴史が刻まれた瞬間だった。
場内の観客が一斉に立ち上がり、割れんばかりの拍手が贈られた。
「勝った!!」
体が震えた。涙が溢れ出た。
この試合で涙腺が決壊するのだから、もしワールドカップ歓喜の南ア戦勝利を競技場で観ていたら、私はどうなっていたのだろうとふと思った───。

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勝利を決定づけたトライを奪い、歓喜サンウルブズ選手たち。

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スタンドに応援に来ていた息子さん?? をグラウンドに招き入れたトゥシ・ピシ選手。

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観客の声援に応える選手たち。おめでとう!! このときインタビューを受けていた堀江主将が珍しく涙を見せた。
 
「次回はプレー中の写真をたくさん撮って来ます」
と自分で声高にほざいた割には、今回もプレー中の写真が殆どない。申し訳ない。<(_ _)> 何故なら、サンウルブズの歴史的勝利が予感され、後半はカメラの存在など忘れて絶叫していたからである。
「集中!!」「フォワード、フォロー!!」とか、リードして残り9分を切ってからは、「残り8分!!」「あと5分だ、踏ん張れ!!」「あと3分!!」とか、狼の如く吠えまくっていたからだ。
1人で観に来ていた隣の女性には、騒がしくて申し訳なかったと思った。
「うるさくて、すみませんでした」と試合終了後、頭を下げた。
彼女は「いえ、初心者なので、何がどうなってるのか分からなかったので、逆に良かったです」と私を慮って優しい言葉を返してくれた。
※私は前半途中から、反則やTMO、或いはプレー中にも「ああ、オフサイド」「これはトライじゃないな」「左が空いてる。チャンス」とか、ぶつぶつと大きな声で独り言を言っていた。まあ、試合に気合が入ると、突然人格が変わるのはいつものことなのだが。
隣の女性は私の大声の呟き(笑)で、何となくプレーの状況を察してくれたらしい。
「楽しかったです」と爽やかな笑顔で応えてくれた。
ラグビーの面白さ普及大使』である私(自称)は「是非、これからもラグビー場に見に来てください。ラグビーはルールを覚えると、見ていてもっと楽しくなりますから」」と彼女に言った。

「分からなければ、何でも訊いてください。大抵のことは答えられると思うので」と、次回も隣で観戦する可能性などゼロに等しい女性に、試合終了後に言っても何の意味もない無駄なことまで告げた。
さらには、「ラグビーのHPを昔から作っているので、よろしければ見てください。日本ラグビーの歴史が分かると思いますので」と観戦初心者には読んでも難しいと思われる自分のHPの宣伝までしてしまった(笑)。
試合終了後は、30年以上一緒にラグビーを見続けている仲間とバックスタンド入り口で落ち合い、高田馬場に繰り出し、祝杯を上げた。
その日のゲーム内容、昔の想い出の試合、2019ワールドカップについてなど、楽しいラグビー談義は尽きなかった。
ただ一つ気になったのは、エルナンデスがPGを蹴るとき、バックスタンドに「外せ―」と叫ぶ若者がいた話題になったときだ。その話の延長線で、応援の仕方について友人が語り出したとき、彼は涙を浮かべた。
※これについては、論旨が全く変わってしまうので、ここでは深く言及しません。いつか稿をあらためて書きます。
とにかく、全盛期のプレーには遠く及ばなかったとは言え、憧れのエルナンデスを生で見ることができたうえに、日本ラグビーの歴史的勝利の瞬間に立ち会うこともできた。
とても濃密かつ幸せで有意義な今回の上京ラグビー観戦だった。