『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』

一昨日は、一番町、広瀬通国分町辺りを疾走していた。
帰宅してPCをいじっていたら、さすがに疲れたのか
テーブル炬燵の上のPCに、そのまま顔を埋め寝てしまった(笑)。
で、夜中に目が覚めた。それから一仕事。
まあ、そんなことはどうでもいいのだ。

ところで、最近やたらと歩くのが早くなったような気がする。
でも、足は何故か疲れない。
富谷の某所で購入した靴のお陰だ。
仕事用のウオーキングシューズなのだが、これが歩きやすく走りやすく、
運動靴のようにまるで足に負担をかけない。
たしか、4000円程度の安い靴だったはずだが、
我ながら良い買い物をしたと思う。
まあ、そんなこともどうでもいい話である。

そんなわけで、(どんなわけ?)まともな文章をゆっくり書く時間がない。
で、またまた昔書いた本のレビューを引っ張り出すというわけである。

そこで、(なんとまあ、雑な接続詞のオンパレードなことだろう)
2013年3月27日に発表した
『裁判長! ここは懲役4年でどうすか』のレビュー。

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BOOK OFFの105円コーナーで、
なんぞ面白い本はないかなと探して目に留まったこの本。
いやあ、面白い。
面白いと言い切ってしまっては、
被害者の方々に申し訳ないところもあったりしますが。

ありていに言えば、裁判の傍聴エッセイである。
涙あり、笑いあり、でまさに人間ドラマ。
裁判所の法廷というのが、これほど人間くさいところだとは知らなかった。
傍聴マニアの存在とか、目から鱗である。
著者自身も、傍聴初心者から徐々にセミプロになっていく様子が
不思議な味を出している。
もちろん、主役である、被告人、裁判官、検事、弁護士、
そして証人までも、興味深く描かれている。
他人事じゃないよなあ、と思う部分もしばしば。

この本を読むと実際に裁判の傍聴をしてみたくなる。
遥か昔、捜査検事を志望した過去のある私だから、なおさらだ。
裁判員制度も始まったことだし、いつ自分に裁判員の召集命令がかかるか分からん。
──で。

すかさず、実際にいって来ました、仙台地方裁判所
わたしも、いざというときにはやることが早い(笑)。
なんせ、こちらは全くの初心者。恐る恐るというか、戦々恐々というか。
とりあえず受付で「裁判のスケジュールを知りたいんですが」と尋ねると
「五階の事務局で分かります」とのお返事。
早速、エレベーターで五階へ行き、その旨要望すると、
「コピーはできませんが、書き写すのは構いません」
とのことで、10ページ程度、裁判内容を見ながら2~3週間先までの予定表のなかで、興味深そうなものを書き写しました。
まずはこの本に出ていた定番の「傷害致死」や「大麻取締法違反」などが無難かと。

予定を書き写した後、その日の公判スケジュール表を見たら、まさに「傷害致死」事件をやっているじゃありませんか。
で、すぐに4××号法廷へ。

すでに開廷していましたが、傍聴人はゼロ。初心者としてはドキドキものです。
持ち物検査があると本には書かれていましたが、誰もいないので、
そのまま静かにドアを開けて傍聴人席に着席。
それから二時間ほど、傍聴しました。

この本に書かれているとおりでしたね。

生まれて初めて見た、人を殺害した(と思われる)人間の素顔。
ごく普通のおじさんでした。

ミステリー本の中では、何百人、何千人もの殺人犯に会っているけれど、
実際の殺人犯(と思われる人)を見たのは初めてですから。
ああ、この人が他人を殺しちゃったのか、と不思議な気分でした。
途中からなので、事件の概要が最初は分からなかったのですが、
よく聞けば、仲間の男と二人で、知人の男を殺してしまったらしい。

もう一人の主犯格Aが被害者を殴ったのが、死に至らしめた直接の原因らしく、
彼はすでに犯行を認めて実刑が確定済み。
ただし、この被告人Bも殺害に加担しているということで
傷害致死」で争われている裁判らしい。
この被告人Bは、自分は殺害に加担していないということで無罪を主張している、
とのことでした。

でも、その証言がハチャメチャ、全く理解に苦しむ。
なぜ、被告はあんな誰にでも分かるような嘘をつくのだろう。
検事から「警察での取調べではあなたはこう答えましたよね」
という質問に対して、
「いや、あれは妄想で喋ってしまったんです」との発言。
不謹慎ながら、思わず吹き出しそうになりました。

しかも、殴られて倒れた被害者の顔に向けてエアガンを撃ったらしいのですが、
「どうして、ガンを撃ったのですか?」という質問に、
「ちょっと、撃ってみたらどうなるかなあと思って」
と言うので、ここでも笑いそうになりました。

子どもじゃないんだから、ちょっと撃ってみたって……。
その後も、一発だけ撃ったというのに、実際には何発か打たれた裂傷の跡が
被害者の顔には残っていたらしく、その説明がどうにもつかない。
被告が何発も撃ったのがミエミエなんです。
それでも被告は一生懸命に主張するんです。
誰が聞いても、理に合わないというのに。
まさにリアルな裁判を体験しました。

家に戻り、ネットでこの被告人の名前を検索したら、
すぐに見つかり事件の概要がさらに詳しく分かりました。
便利な時代になったものです。
さて、この裁判、どんな判決になるのか、
非常に見ものなので結審の日にまた行こうと思っています。
初心者の私が見ても無罪は無理だと思うけどなあ。
だって、弁護人でさえも休憩時間になると被告人の発言に笑っているんだもの……。

でも、みなさん。明日はわが身かもしれません。
どこで、どんな事件に巻き込まれるかなんて神様でも分かりません。
さらに、今の裁判員制度を深く知る意味でも、傍聴は必要だと思った私です。
やはりドラマとは全然違う切実感がありました。