直木賞受賞会見の生中継を見て思う

2016/01/20 12:19 カルチャー , イベント , オピニオン
青山さんのデビューは1992年の中央公論新人賞なので、四半世紀前だ。
その間、紆余曲折あったようだが、長い道のりで苦労も多かったと思う。
それ故に、この受賞は万感の思いがあったことだろう。
直木賞芥川賞と異なり新人の作品に与えられる賞ではないので、
こういった苦労してきた作家の方が受賞されるのは素直に喜びたい。
直木賞は功労賞ではないのか? と言われる所以でもあるのだが。
でも、青山さんの自作、或いは文学に対する熱い思いは会見の内容から
視聴者にも深く響いてきた。
会見の最後には「『つまをめとらば』よろしくお願いします」と深々頭を下げた。
現代の出版不況の中、又吉直樹氏のような特例は別にして、
小説家として生活していくことの厳しさが伝わってくる締め言葉だった。
素直に「おめでとうございます」と言いたい。
仙台市図書館の予約数が受賞発表前の昨日の午後7時頃には25件だったのだが、
先ほど見たら57件と倍以上に増えていた。

時代小説は苦手な分野なのだが、収録されている6本の短編の中でも、
表題作「つまをめとらば」は楽しそうな作品なので読んでみたいと思う。
それにしても、青山さんは中央公論新人賞でデビューしたとき“影山雄作”という名であり、「名前を二つ持つ作家には、誰々と誰々がいて」という話題に触れ質問した記者がいたが、彼が、私の高校時代に強烈な印象を与え、五木寛之とともに東京行きを決意させた「赤頭巾ちゃん気をつけて」の著者である庄司薫(福田章二)の名前まで出したのには驚いた。
なんといっても、40年以上も前の話である。
註:庄司薫については“「夏休み───「ぼくの大好きな青髭」”に私の大学時代のエピソードとして書いているので、興味を持たれた方はそちらをご覧ください。<(_ _)>
どこの記者だったか忘れたのと、何歳ぐらいの方だったか、
映像ではよく確認できなかったが、博識である。
その人数と作家名まで具体的に言って質問したのだから。
文芸部の記者なら、仕事だからというのではなく、この方ぐらいに、
細かいことも調べて関心を持ってもらいたいものだとしみじみ思った。