芥川賞受賞会見を見ながら思った故郷への意識。

仙台は昨日から大雪。街中にもまだ雪がかなり残っている。
こんな風景の仙台を見るのは1年振りだ。
当たり前だ。冬しか雪は降らないのだから。
東京も5cm程度の積雪があったようで、200人以上の怪我人。
まあ、人口自体が10倍なのだから単純比較はできないが、
東京育ちの人は雪の歩き方を知らない。
雪国の人は、歩幅を小さく、重心を低くして足をしっかり踏み固めながら
雪の上を歩くというのが身に沁みついている。
だから、この程度の雪で転んで骨折するような人は殆どいない。
東京時代、街を歩いていると、あちらこちらでみんながすってんころりんと
転んでいる様子を見て不思議に思ったものだ。
全然話は変わるが、今『ニコニコ動画』で芥川賞直木賞受賞者のインタビューを見ている。
私の直木賞予想は惨敗で、青山文平氏の「つまをめとらば」が選ばれた。
芥川賞を受賞した滝口さんが埼玉出身ということで『埼玉新聞』の記者が、
埼玉に対する思い入れや、埼玉に生まれたことが作品を書く原動力になったか?
と質問すると「全くありません」と素直に答え、会場内の人々や視聴者の笑いを誘った。
宮城県出身の人が受賞した場合『河北新報』の記者が同様の質問をするのだろうが、
こういった返答をされたらがっかりするだろうなあ、と思ってしまった。
本谷さん(初候補から10年)も、石川県出身では初の芥川賞受賞ということで、
北國新聞』(石川県の新聞)の記者が同様の質問をしたが、本谷さんは
地元に気を遣ったのか「石川県の方々に喜んでいただけたら嬉しい」
と卒のない返答をした。こういう感覚は、各作家において全く異なる。
故郷や地元への思い入れが物を書きたいと思う原点になる人もいるし、
全く関係ない人もいる。生まれ故郷に対する意識は人それぞれである。
追記:
新聞記者の質問内容で、各々の新聞社の文芸レベルがよく分かる。
作品に全く関係ない質問をする記者のなんと多いことか。
そんなつまらんこと聞いてどうするんだ!! とツッコミたくなる(笑)。
今回は日本経済新聞記者の圧勝。ツボを押さえた良い質問だった。
日経は、いろいろなところでレベルが上がったなあ、と
30年以上前の状況を思い出すにつけ、あらためて感動。
再追記: 直木賞を受賞した青山さんは私の10期上の先輩である。
この作品に対する熱い思いがあるらしく、インタビューで熱弁をふるった。
その発言が『ニコニコ動画』の視聴者には概ね好意的に受け取られていた。