「魂のラグビー」上田昭夫氏が病床で語った人生の指針
新年にあたって何を書こうか、迷った。悩んだ。
たまたまFBを見ていたら、ラグビーの知り合い繋がりで、素晴らしい文章が目に飛び込んできた。
本来なら、自分の言葉で何かを書きたかったが、今生きているぼくたちに向けて彼からの遺言ともとれるこの言葉を、みなさんに読んでもらいたいと思った。
そういうわけで、昨年7月に62歳という若さで天国に召された、元慶應義塾蹴球部総監督でフジテレビのニュースキャスターも務めた、「魂のラグビー」の具現者でもあった上田昭夫氏が病床で語った言葉を掲載させていただきます。
人生の指針として、深く心に響いてくる名言だと思いましたので。
天国の上田昭夫様へ。
「その人の人生というのは、その人が主役でなければならない。自分の指針を持ち、自分の生き方を決め、その生き方を全うする。自分で決めた生き方であるならば、たとえその組織や周囲から嫌われ敬遠されようとも、恐れることはない。
そうした人間ならば必ず理解者が現れ、なによりも自分自身にやり切った感が残るはずだ。人生の評価というのは、なんらかの目標を達成したか、しないかという結果に左右されないことが重要だ。
『やる』か、『やらないか』というそれぞれの人生の選択の中で、積極的に『やる』と決断して行動したならば、結果に関係なくやり切った感が残る。逆に自分で『やる』決断をせず、周りに左右されて行動した場合は、『流された感』や『自分への不信感』が胸にわだかまりとなって後々まで残るだろう。
同じ行動を取るにしても、意味が大きく異なってくる。
長い人生において、その積み重ねは取り返しのつかない後悔となる。自分を生かす第一歩は、『自分で決断する』ことから始まる。
人は何を成し遂げたかではなく、どんな思いで、何に取り組んだか、その思いは、誰かの役に立つものなのか、誰かの楽しみや喜びに繋がるものなのか、それは胸を張って人に言えることなのか。そんなことを自分自身に問い掛けながら、ブレない自分を作っていくのが最高の人生であり、その過程の中で『自分らしさ』というものが発揮される。
どんな言動をするにしても、周囲の人から『あの人らしい』という肯定的な受け止められ方をする自分らしさを磨け。ピカピカ輝いている人間というのは、その人の個性を活かしていることに他ならない。周りはそんな人に惹かれるはずだ」
病床の上田氏は最後まで強く明るく、人生について語っていた。
その笑顔よ永遠に。
大元よしき 『強い組織をつくる 上田昭夫のプライド』より
註:著者の大元氏より掲載の使用許諾は頂いております。