今日はスーちゃんが星になった日───2011年4月21日

2016/04/21 10:48 暮らし , イベント , 復興・防災
これから日を追って、スーちゃんのお通夜に参列した24日まで、書いていきます。
この写真は、昭和50年(1975年)10月1日に発売された5枚目のアルバム『その気にさせないで』付属の写真集の最後のページに掲載されたものです。
よく見ると右下に小さな文字があるのですが、1975.3.24 高校卒業式にて というキャプションがついています。実際のサイズは天地16cm、左右24cmと、かなり大きなもの。卒業式の直後に撮影された、すっぴんの彼女の顔はとても初々しいです。
 
高校1年生の時から応援していたキャンディーズ
でも私が上京した1年後に彼女たちも引退。
プレーヤーもなく、レコードを聴くこともなくなりました。
ときおり、あのレコードはどこに行ってしまったのだろうと思っていました。
震災の10日後、被災した実家の手伝いをするために仙台へ戻りました。
すると不思議なことに、家を片付けていると、それまでずっと何処にしまったのか分からなくなっていた 彼女たちのレコードが全部出てきたのです。
ほんの少し、かび臭く、昭和の懐かしい匂いがしました。
あまりの懐かしさに東京へ持ち帰りました。
パソコンに録音できるレコードプレーヤーも購入しました。
いつまでも、ずっと聴いていられるようにと。
昔を思い出し、聴きながらテレビをぼんやり見ていた矢先のことです。
4月21日(木曜日)の午後10時過ぎだったでしょうか。
突然、画面上にテロップが流れました。
スーちゃんの訃報でした。
忘れていた青春がよみがえったかと思うと、一気に哀しみへ。
このレコードが突然現れたのは、死を覚悟した彼女が「キャンディーズのこと、ずっと忘れないでね」と囁いてくれたように思えました。
彼女のHPを見ると、一般のファンもお通夜に参列できると書かれており、翌日事務所に電話を掛けて問い合わせました。
場所は南青山にある、私が東京生活を始めた寮のそばの青山葬儀所
学生時代、寮の周辺を散策すると、突如鬱蒼とした森が現れます。
それが青山墓地でした。そこに隣接した青山葬儀所。不思議な縁を感じました。
日にちと時間を再確認し、自分の高校時代を豊かに彩ってくれたキャンディーズに感謝と哀悼の意を伝えたいと思い、4月24日のスーちゃんのお通夜に行くことを決めました───。
 
この文章は、こちらに続きます。
 
※当時の報道によれば、こう書かれています。
21日に乳がんのため55歳で死去した、アイドルグループ「キャンディーズ」の元メンバーで女優の田中好子(たなか・よしこ、本名小達好子=おだて・よしこ)さんの通夜が24日、東京都港区の青山葬儀所で営まれることになった。
・生前、自らの最期について「私は日本のみなさんに愛していただいた。だから最期は(ひっそりではなく)みなさんに送ってほしい」という意向を家族に明かしていた。密葬や、関係者による葬儀・告別式ではなく、ファンも一緒に参列できる“お別れの会”のようなものを望んでいたもよう。会場ではキャンディーズ時代の曲や映像、映画などの出演作、写真などが飾られ、旅立つ田中さんをあたたかい雰囲気で見守ることになりそう。
・ファンも弔問できるよう葬儀所内に記帳台を設けることも検討中。スーちゃんに最後の別れを告げようと、全国から多くのファンが訪れる可能性があるため、その対応を考えている。
・祭壇を手掛けるのは、カンヌ映画祭パルムドールを受賞した「楢山節考」以降、故今村昌平監督の美術監督を務めているスタッフになる予定。
 
 
下記は2012年4月22日。
スーちゃんの「一周忌」の翌日に某サイトに発表した文章です。

天国にいる田中好子様へ───
4月21日は貴女の一周忌でした。
早いものです。もう1年経ったのですね。
今は天国で私たちを見守ってくれているのでしょうか。
私は、永遠に貴女にとって『年下の男の子』のはずでしたが、来年には、そうではなくなります。そのどうしようもない事実が、やるせなく、悔しくて、悲しい。
私の高校時代、受験勉強と野球部の部活の両立に苦労しながら、三年間何とか続けられたのは、貴女たちキャンディーズのおかげです。
優しい微笑みを浮かべながら唄う貴女たちを見ることが、私の支えでした。
実際にお会いできたのはたった2回だけですが、それでも、間近で、本当に手が触れ合わんばかりの近さで、貴女たちを見ることができた私は幸せ者なのでしょう。
ありがとうございました。
昨年の4月24日の日曜日には貴女のお通夜に参列させていただきました。
『青春の想い出そのもの』だった、キャンディーズを永遠に胸に刻んでおくために。あれから1年経ったことがまだ信じられない気持ちです。こうして、時は無常にも穏やかに流れてゆくのでしょう。
それでも、あの日──
青山通りを行き交う車の音が
降り注いだうららかな陽光が
葬儀場を取り囲む樹木の緑の匂いが
肌を優しく撫でていった爽やかな春の風が
突然暗くなった空から振り出した涙雨が
そして、貴女の美しい遺影を見上げた瞬間が
昨日のことのようによみがえってきます。
天国で安らかにお休みください。